「平屋を建てるなら、収納は多すぎるくらいでちょうどいい」。そんな先輩施主の言葉を胸に、私たちは美濃加茂で新築注文住宅の図面を引き始めました。平屋の最大の魅力は、上下の移動がないフラットな暮らしですが、一方で「2階」という巨大な収納予備軍がないため、1階の面積だけで生活用品のすべてを管理しなければなりません。

そこで私たちが最も重視したのが、キッチンの隣に配置する「大型パントリー」です。平屋という限られたフロア面積の中で、なぜあえて3畳もの広さをパントリーに割いたのか。入居して半年、その決断が新築生活をどれほど軽やかにしてくれたか。後悔しないための「平屋のパントリー計画」について語ります。

1. 平屋に「ストック」が必要な物理的な理由

平屋の家づくりでは、できるだけリビングを広く、開放的にしたいと考えがちです。しかし、リビングに出しっぱなしの物が増えれば、その開放感は一瞬で崩れ去ります。特に平屋は、買い物から帰ってきて「重い荷物を2階へ運ぶ」という動作がないため、ついついストックを溜め込みがちになります。

我が家が作った3畳のパントリー。ここには食品だけでなく、トイレットペーパーや洗剤のストック、季節物の調理家電、さらには「防災備蓄」のすべてが収まっています。新築時にこれだけの容積を確保したことで、リビングやキッチンの見える場所には、現在使う物しか置かなくて済むようになりました。「隠す収納」が充実していることが、平屋のミニマルな美しさを支える最大の土台なのです。

2. 奥行きよりも「棚の長さ」が使い勝手を決める

パントリーを作る際、多くの人が「深い棚を作ればたくさん入る」と勘違いします。しかし、奥行きがありすぎる棚は、奥にある物が化石化し、手前に物を置くことでアクセスが悪くなる「ブラックホール」になりがちです。特に平屋のパントリーは、日常的に何度も出入りする場所。

我が家の正解は、奥行き30cm〜40cmの棚を「コの字型」に配置することでした。この浅い奥行きこそが、すべての在庫を一目で見渡せる魔法のサイズです。新築時に可動棚を採用したことで、ペットボトルの箱から細かな缶詰まで、ミリ単位で高さを調整できます。3畳という広さがあれば、中央に人が立って旋回でき、重い荷物を持ったままの移動もスムーズ。パントリーは「倉庫」ではなく、立派な「作業スペース」なのです。

3. ライフラインとしての「非常食」と「家電」の居場所

平屋を新築する際、私たちは「災害に強い家」もテーマに掲げました。3畳のパントリーがあれば、家族4人の1週間分の水と食料を余裕を持って備蓄できます。また、最近増えている「大型の調理家電」――低温調理器やノンフライヤー、ホームベーカリーなど、毎日ではないけれど使いたい家電たちの指定席もここに作りました。

キッチン周りが片付かない最大の原因は、こうした「たまに使う大きな物」の居場所がないことです。パントリーにコンセントを多めに配置したことで、パントリー内で精米機を回したり、サブ冷凍庫を置いたりすることも可能になりました。平屋のワンフロアという限られた資産を、どう効率的に配分するか。その答えが、我が家の場合は「余裕のあるパントリー」でした。

まとめ:平屋の余裕は「裏方」で作る

平屋の新築は、どうしても坪単価が高くなりやすく、面積を削りたくなります。しかし、パントリーを削ってリビングを1畳広げるよりも、パントリーを充実させてリビングを常にスッキリ保つ方が、体感の広さは何倍も大きくなります。階段がないからこそ、物の移動を最小限にし、一箇所で管理できる大容量の「裏方」を作る。これから平屋を建てるなら、ぜひパントリーの広さを贅沢に考えてみてください。その決断が、毎日の家事を劇的に楽にしてくれますよ。